HOMEの中の夢雲のフォト日記の中のJEEP時間04★ブルー・ドリーム  

JEEP時間04★ブルー・ドリーム  

前回に続いて、ジープ島をベースにしてキミシマ環礁に挑んだ、
とある1日の「気分」を描いてみようと思う。
それも、よりハードチックに、ダイバーとしての感覚を前面に出して・・・。

何故それほどまでにキミシマにこだわるのか?

もちろん、ジープ島そのものも、掛け値なしに素晴らしい。
たぐいまれなる海(ハウスリーフ)、奇蹟のような天空の調べ、
ナチュラル・ゴージャスなくつろぎのひととき、、全てが特筆に値する。

ただ、もう20回以上行っている私にとっては、
ジープとは、その先の「遙か彼方」へ向かう為の、
「居心地のいいベースキャンプ」という見方がとっても強い。
そしてそれが、またそのままこの島の魅力なのだ。

例えば山で言えば、ヒマラヤに挑むベースキャンプ地の美しい町並み。
遥かに見上げる、雪を頂いた憧れの峰々。
そこはすでに日常を離れてはいるのだけど、非日常ではなく、
その中間に位置する心のオアシス。

更に、今日はここから挑むぞ!という心地いい緊張に包まれた空気感・・・。
そう!それはそっくりそのまま、このジープとキミシマの関係にも
当てはまるのではないかと思う。

そして、ダイビングという、遊びとしての「装置」の匂い。
それは、潮臭く、寡黙で、野性味に溢れ、限りなく不良臭くて、いい。

私はずっとその世捨て人的な、
「冒険の身体性と世界観」を、ダイブに感じてきたのだから・・・。

その日は朝から快晴。『今日はキミシマだ!』
それだけで、体の芯からエネルギーが沸々と沸き上がってくる。

この先の「遙か彼方」へ。
外洋を隔てた、あの幻のように横たわる環礁へ。いざ、挑まん!!

風は暖かく、肉体は既に戦闘マシーンになるべく、スイッチが入った。

滑るように舟が走り出す。
『サ・スー!』 (トラック語で、、さあ、出発!の意味)

外洋を越え、キミシマの海域に入った。
いつ来ても、ここのムードは、血湧き肉踊る♪

今回は、私が一番好きな、ベスト大物ポイント「ブルーチャネル」。
ここだよ!ここ!!

この青、この輝き、この神秘性・・・。

潮の流れを見る。しばし緊張が走る。
素早く器材をセットする。

海に入って、中の様子をチェック。 OKだ!

お~っ!これぞ、イントゥー・ザ・ブルー!!
光が底のただ1点に向け放射され、神秘の青へといざなう。

ド~ンとエントリー!
「・・・・・・・・・」この青に言葉はいらない。

いきなり、イソマグロが顔を出した♪ 

ウメイロモドキが通り過ぎ、 ハナムロが、矢のように流れていく。

先頭者が何かを見つけたようだ。

カマスの大群だ!

既に、「思考」というものはない。
あるのは、研ぎ澄まされていく感覚と、ギリギリの生存本能・・・。

何処からともなく、サメが姿を現した。
オグロメジロザメだ。

深いブルーの中で、それはとにかく美しい。
流れるようなシェイプ、無重力のような泳ぎ、
そして冷たい野生そのものの気配・・・。

カマスの群れの周りを旋回し、捕食のタイミングを伺っているようだった。

今度は、向こうの方に何かがいるようだ。

ギンガメアジの大群だった♪

よっしゃー、、こうでなきゃ、ブルーチャネルじゃない!
慎重に接近する。
比較的棚が浅くて、明るいムードがここの特徴。最高だ!!

視界を全て覆い尽くされた。
この迫力、この密度、この美しさ! これぞ、ブルー・ドリーム!!
この青は、一生脳裏に焼き付いてくれるだろう♪

いつまでも居られないのが残念・・・。 ギンガメ君とサヨナラだ。

丸々としたイソギンチャクとクマノミ。
海の中は、常に驚きの連続!

そして、アケボノハゼ。

徐々に深度を上げ、ハナゴイの群れの舞を堪能する。

英名で、フェアリー・バスレット。
フェアリー=妖精。いつまでも見ていたい。

夢の中にも出てきておくれ^^

いよいよ、フィニッシュに近づく。
ここは、浅場も独特の華やかなムードがある。

さあ、エギジットだ。
水中のこの青を目に焼き付けて・・・。

ボート上からも、いつまでも眺めていたい。
この青は、巡礼者の為の青。

この日は帰りも天候に恵まれ、快適な遠征となった。
ジープ島が見えてくる。

まだ頭の中は、青く染まったままだ。
網膜までもが・・・。

陽射しはまだまだ強いけれど、ゆっくりと斜光に変わり、
落ち着きとくつろぎの時間を迎える。

珊瑚のカケラが微笑みかける。


さあて、そろそろBARタイムだ^^


今度は大気が、真空のように青く染まっていく。


ハードなダイブの後はこれ!
ハイランドモルトの雄・グレンオード。私が今一番愛飲しているモルト。


脳裏に焼きついた青と、天空の青が溶け合う。
それが夕暮の朱とモルトの琥珀と混ざり合い、
この世のものとも思えない、絶妙なカクテルとなる♪

少しずつ、少しずつ、辺りは闇になっていく。
でも、とても優しい、柔らかな闇だ。
当然BGMは、クラプトンのピルグリムからの1曲。
PILGRIM=巡礼者
まさに今日は、巡礼の一日と言えるのかもしれない^^

最後に、開高健氏の、とある一節から引用してみよう。

・・・こういう瞬間、
澄明であたたかい、キラキラ輝く潮が、澎湃(ほうはい)とさしてきて、
全身にみなぎり、自我が肩からのびのびと揮発していく。

ハイネは、遊んでいるときだけ男は彼自身になれると、いった。
ニーチェは、男が熱中できるのは遊びと危機の二つだけだと、いった。

——————————–【「オーバ!」アマゾン篇より】

続く。

ジープ島、Jeep島